チビ助。本名は越前。まぁ、昔に比べれば身長も伸びてはいるが、俺にとって奴はチビ助だ。チビ助の割に、中学時代から1年でも、レギュラーをやっている青学の選手だ。そして、悔しいことに、俺はこのチビ助に負けたことがある。次こそは、絶対に勝ってやると思っているが、試合をする機会があまり無かった。今日こそは・・・、と俺は練習試合で来た、青学の校門をくぐりながら誓った。
コートに着き、早速チビ助と出くわした。
「よう、チビ助。」
「アンタ、氷帝の・・・・・・下剋上。」
「日吉だ。何回言えば、わかんだよ。」
「そっちこそ。俺は越前って名前があるんだけど?」
「チビ助はチビ助だ。」
「じゃあ、アンタも下剋上でいいじゃん。それに、それが好きな言葉なんでしょ?」
「ストーップ!はい、日吉そこまで。越前くん、ゴメンね。」
俺とチビ助が言い合っているところにが入ってきた。・・・別に、これは只の挨拶程度で、本当に喧嘩しているわけじゃない。だから、が止める必要はなかったのに。むしろ、あまりチビ助と関わらせたくないから、止めに入らないでほしかった。
「チーッス。」
「こんにちは、越前くん。・・・本当、越前くんはカワイイよね〜。」
「・・・カワイイとか言われても、あんま嬉しくないんスけど。」
「あぁ、ゴメンね。うちは、1年のレギュラーって居ないから、ついスゴイなぁ、と思っちゃって・・・。」
「それは、どうもっス。」
「あぁ、本当カワイイ・・・!」
は、チビ助に会うと、すぐこれだ。・・・だから、会わせたくない。
「おい、。俺を連れ戻しに来たんじゃないのか?」
「ん?うん、そうだけど。ちょっと越前くんに挨拶しておこうと思ってね。・・・それじゃ、越前くん。今日はよろしくね。」
「よろしくっス。」
そう言って、チビ助が帽子を取り、少し礼をすると、またはじっと見ていた。それを無理矢理、引っ張って、俺は戻った。さすがに、も我に返ったらしく、俺の方を見て言った。
「ゴメンね。なんか、越前くん見てると、ほのぼのしちゃって・・・。」
「そうか。」
「うん。何だろう。何か、あのクールな感じが日吉に似てるから。日吉をカワイくしたみたいに見えて、つい・・・。」
チビ助に似てると言われても嬉しくないが、それでがチビ助にあんな態度なら、悪くはないと思えてきて、複雑な気持ちになった。・・・が、次のの言葉で、俺はまた嫌気がさした。
「それに、あの言葉遣い。なんか、赤也みたいでしょ?だから、越前くんって日吉と赤也を足して、さらにカワイさを足した感じで、ものすごく落ち着くの。」
今度は切原か。まぁ、俺に似てるというわけではないから、いいとしても・・・。やはり、快くは思わない。
「私の好きな人を混ぜた感じだから、越前くんはほのぼのするんだと思うなぁ。だから、もちろん、日吉と居るのも、私は好きだよ?」
・・・が、にそう言われたら、何もかもどうでもよく思えてきた。俺は、深く考えもせずに、思っていることを口走ってしまった。
「そうか。・・・俺もと居るのは落ち着く。」
「本当?!わ〜い!!やった!!ありがとう。」
だが、それもがすごく喜んでいたから、どうでもよく思えてきた。
最終的に俺が下剋上しなければならないのは、チビ助でも跡部部長でもなく、のような気がしてきた。
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今日は氷帝と練習試合があるみたい。
氷帝の人たちが青学のコートに来てて、俺は2年の日吉って人とバッタリ会った。
「よう、チビ助。」
「アンタ、氷帝の・・・・・・下剋上。」
「日吉だ。何回言えば、わかんだよ。」
「そっちこそ。俺は越前って名前があるんだけど?」
「チビ助はチビ助だ。」
「じゃあ、アンタも下剋上でいいじゃん。それに、それが好きな言葉なんでしょ?」
「ストーップ!はい、日吉そこまで。越前くん、ゴメンね。」
日吉って人は、俺に負けたことがあって、それ以来妙に突っかかってくる。・・・正直、面倒。だから、このマネージャーの・・・さん――だったと思う――が止めに来てくれて助かった。でも、この人が来ると、日吉って人が本当にイライラしだすから、やっぱり面倒だ。
とりあえず、俺はさんに挨拶をした。
「チーッス。」
「こんにちは、越前くん。・・・本当、越前くんはカワイイよね〜。」
「・・・カワイイとか言われても、あんま嬉しくないんスけど。」
「あぁ、ゴメンね。うちは、1年のレギュラーって居ないから、ついスゴイなぁ、と思っちゃって・・・。」
「それは、どうもっス。」
「あぁ、本当カワイイ・・・!」
そんな俺たちのやり取りを見て、やっぱり痺れを切らした人が居る。・・・乾先輩や不二先輩が言ってたけど、本当にこの人はさんのことが好きなんだろう。
「おい、。俺を連れ戻しに来たんじゃないのか?」
「ん?うん、そうだけど。ちょっと越前くんに挨拶しておこうと思ってね。・・・それじゃ、越前くん。今日はよろしくね。」
「よろしくっス。」
そう言って、帽子を取り、少し礼をした俺を見ていたさんを、日吉って人は無理矢理、引っ張って行った。そして、2人で仲良さそうに喋りながら帰って行った。・・・そういえば、さんも日吉って人のことを好きなんだ、って乾先輩と不二先輩が言ってたっけ。
本当、俺は他校なんだから、巻き込まないでほしいよね。・・・乾先輩や不二先輩は、巻き込んで欲しそう・・・と言うか、自分から巻き込まれに行ってるみたいだけど。
越前くんが似非ですみません・・・!(汗)むしろ、勝手に日吉くんと切原くんに似ているなどと書いてしまい、申し訳ございません・・・!(滝汗)
でも、本当に越前くんは可愛くて好きです。その可愛さを少しでも出そうと、頑張ってみたつもりです!(苦笑)
ちなみに、次回のお話からは視点が変わります。次からはヒロイン視点オンリーとなります。
ここまでお付き合いくださり、ありがとうございました!できれば、最後まで宜しくお願いいたします(最敬礼)。
('09/11/16)